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ガット張り替え記録①(G360ラジカルMP×ハイブリッド)

今回いつものテニス仲間よりガット張り替えをご依頼いただきました。
掲載の許可を頂きましたので、管理人の備忘録も兼ねて張り替えについてお伝えしていきます。
今回張り替えたラケットおよびガット(ストリング)は以下のとおりです。

ラケット:グラフィン360 ラジカルMP 【HEAD】
ガット:<縦>X-ONE BIPHASE 1.24mm × <横>ポリツアーファイア 1.25mm 【Tecnifibre×YONEX】

ラケット
ヘッド社ラケットの試金石的存在、適度な飛び・しっかりかかるスピン性能・高いコントロール性能と、過剰なアシスト力はありませんが自分の打ちたいボールをイメージどおりに打てるバランスの良いオールラウンドモデルと人気の2019年発売ラジカルMPです。ヘッドのラケットは今まで人を選ぶ「扁平型グリップ」でしたが、ラジカルのこのモデルから一般的な「丸型形状」となりました。
今年1月に新型ラジカルが発売されていますが、ここ数世代のラジカルと比較して打感が硬くスイートスポットが狭めになるなど使用感がハードかつフラット系ショット寄りになっているため、2019年モデルの方がよりマッチする人が多いかもしれません。
担当カラーは「オレンジ」です。

ガット(本来はストリングと呼ぶのが正式ですが認知度からガットという呼称で統一します)
今回はハイブリッド(縦と横で別種類のガット)張りとなります。ハイブリッドでは縦と横にどのガットを持ってくるかでかなり性格が変わり情報にも諸説あるのですが、今回はナイロンマルチ単張りに耐久性を持たせる意味で横糸にポリを張ります。

<縦(メイン)>
「ナチュラルガットに最も近いシンセティックストリング(人工ガット)の1つ」と呼び声高いテクニファイバー社のX-ONEバイフェイズ1.24mmです(ナイロンの標準的太さは1.30mm)。極上の柔らかい打感・ナイロンマルチの中では高い反発性能・高いテンション維持性能と高い性能を持つ一方で、大きなデメリットの一つとして切断耐久性が低いというものがあります。総じてナイロンマルチは切れやすいですが、特にこのガットは切れやすく早ければ2週間~1ヶ月で切れてしまう(切れずとも段々と裂きイカのように糸がほつれてきて打感が悪くなる)ことと、更に人工ガットの中では上位の価格帯とコストがかかるのが弱点です。


<横(クロス)>
ヨネックス独自のSIF製法(ストリングにシリコンオイルを浸透させストリングの滑りをよくする)によるスナップバックでのスピン性能と、高い反発力が優秀なポリ系ガットです。
SIF製法は昨年11月に発売された新しいガット、ポリツアーレブにも採用されておりその高い効果が証明されています。
鮮やかな赤色が印象的なガットです。

今回ご依頼いただいた方は、「X-ONEバイフェイズを単張りだと1カ月前後で切れてしまう」というお悩みをお持ちでしたので耐久性を持たせる意味で横糸にポリツアーファイアを張ります。また縦糸にやや細めの糸を使用することで球の弾きを良くし、横糸に滑りの良いポリ系ガットを入れることでスピン性能の向上と球の持ちすぎを抑止する狙いです。
余談ですが、一般的にナイロンマルチ単張りでは横糸が先に切れ、ポリ単張りでは縦糸が先に切れるケースが多いです。

張り上げ
今回は指定のテンション(張力)が48ポンドです。ハイブリッドの場合は必然的に二本張りになります。横糸の張力指定はありませんでしたがガットの素材や太さを考慮し、1~2ポンド下げて張り上げていきます。
横糸の張力を下げることにより、①ラケットの変形を防ぐため ②縦糸の動きを良くするため の2つの効果があります。

張り上がり
オレンジ×グレーのラケットに赤白のガットと同系統のカラーでいい感じです。(好みによる?)
今回は48×46~47ポンド指定で張りましたが、テンション測定アプリで確認した結果47.1ポンドでの張り上がりとなりました。
異素材(ポリ×ナイロンorナチュラル)でのハイブリッドの欠点としては、素材の違いによるガットの緩み方の違いによって段々と打感が変わってくることです。同素材の単張りでもテンションの緩みによる打感の変化は起こりますが、ハイブリッドではそれが顕著なので張り替えサイクルが長い(目安として3か月以上)方は同素材でのガット張り推奨です。(異なるポリ×ポリのハイブリッドはオススメ!時間があればまた記事にします)

格安で張り替えを承っておりますので、色々な組み合わせ・テンションでお試しいただけたらと思います。
ご意見のフィードバックお待ちしております。

ここまで読んでいただきありがとうございました!

2021/3/13